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2026.1.23

「マーケ部門なのに、マーケがわからない」あなたへーー外部のプロに相談する前にやるべき5つの準備

谷古宇浩司

執筆

STUDIO WooFoo Inc.|andSTORY Inc.|Producer

K.Y.

「自分はいったい何の役に立っているのだろう」。深夜のオフィスであなたはそう呟いたことがあるかもしれません。マーケティング部門に所属しながら、マーケティングのことがわからない。Webサイト経由で営業リードを確保したいのに、広告予算はない。記事を書いて集客をしたいけれど、自分にも部下にも(上司にも)ライティングスキルがない。そもそも、どんな戦略で何を企画すればいいのか。優秀なライターをどう探せばいいのか。予算申請の書類を作ろうにも、費用対効果も戦略の全体像も見えてこない。考えれば考えるほど、手が動かなくなる。外部のプロに相談したい。でも、何をどう相談すればいいのかさえわからない。こんな状態で相談しても、呆れられるだけではないか。もっと準備してから、もっと勉強してから相談すべきではないか。そんな堂々巡りの思考に囚われて、結局何も進まない日々が続いているのではないでしょうか。

まず、最初にお伝えしたいことがあります。あなたが今感じている「自分は何もわかっていない」という不安は、決してあなたの能力不足ではありません。むしろ、それは極めて自然な状態なのです。なぜなら、BtoBのコンテンツマーケティングという領域は、戦略立案、コンテンツ企画、制作ディレクション、効果測定、予算管理という複数の専門領域が複雑に絡み合った分野だからです。一人の人間がこれら全てに精通していることの方が稀であり、むしろ「わからないことがわかっている」というあなたの現状認識こそが、問題解決への第一歩なのです。

多くの企業のマーケティング部門の担当者が同じ悩みを抱えています。組織図上はマーケティング部門のスタッフであっても、デジタル時代のマーケティングに必要な知識やスキルセットが急速に変化し続けているため、実務レベルでの自信を持てないのは当然のことです。特にコンテンツマーケティングは、SEO、ユーザー心理、ライティング技術、編集工程管理、効果測定と改善サイクルなど、多岐にわたる知見が必要です。これらを独学で身につけようとすると膨大な時間がかかりますし、その間にも業務は待ってくれません。営業部門からは「リードが足りない」とプレッシャーがかかり、上司からは「Webマーケティングで何か成果を出せ」と言われる。だからこそ、外部のプロフェッショナルに相談するという判断は、決して逃げではなく、極めて賢明な選択なのです。

では、外部のプロに相談する前に、どんな準備をしておけばいいのでしょうか。プロが必要とするのは、あなたの会社の状況を理解するための基本情報と、あなた自身が何に困っているかという率直な現状認識です。立派な企画書や提案書を作る必要は全くありません。

まず整理すべきは、あなたの会社が何をしている会社で、誰に対して何を売っているのかという基本情報です。難しく考える必要はなく、会社案内やWebサイトの会社概要ページを見ながら、事業内容、主力商品やサービス、ターゲットとなる顧客層を箇条書きでメモする程度で十分です。「当社は製造業向けに生産管理システムを販売しています」「顧客は中小企業の工場が中心です」といった一行メモでも構いません。

次に入手しておきたいのは、あなたの会社の顧客がどんな人たちなのかという情報です。営業部門に聞いたり、過去の商談記録を見返したりして、「実際に商談している相手はどんな役職の人が多いか」「どんな課題を抱えて問い合わせてくるか」「商談から契約までどのくらい時間がかかるか」といった現場レベルの情報を集めてください。これらについても完全なデータである必要はなく、営業担当者との雑談レベルの情報でもOKです。「うちに問い合わせてくるのは、だいたい生産管理部門の課長クラスで、在庫管理に困っているケースが多いらしい」という程度の情報で十分。プロはそこから本質的な課題を見抜き、戦略の方向性を示してくれます。

三つ目に手を付けるべきは、現状の課題抽出です。あなたは「戦略がわからない」「予算がわからない」「何から手をつけていいかわからない」という状態だと感じているかもしれません。その「わからない」という状態を具体的な言葉や数字で置き換えることが重要です。例えば「Webサイトへのアクセスは月間3,000件くらいあるが、問い合わせに至るのは月5件程度で、営業部門からもっとリードが欲しいと言われている」とか「競合他社はブログ記事を頻繁に更新しているようだが、自社は半年以上更新が止まっている」といった詳細な状況を書き出してください。曖昧な数字でも、感覚的な表現でもよいです。「正確な数字はわからないが、だいたいこのくらい」という情報でも、何も情報がないよりははるかにマシです。

四つ目は予算感です。ここで多くの方が躓くのですが、最初から正確な予算を決める必要はありません。プロに相談する段階で必要なのは「年間でだいたいこのくらいの規模感なら社内で検討できそう」という大まかな感覚です。例えば「年間数十万円程度」なのか「数百万円までなら申請できそう」なのか「予算取りはこれからだが、費用対効果が示せれば上司を説得できる」といった情報で十分です。プロはその予算感に応じて、実現可能な施策の優先順位を示してくれます。「予算はいくらでも出せます」という会社はほとんどありませんし、限られた予算の中で最大の効果を出すのがプロの仕事なのです。

最後にまとめておきたいのは、期待する成果です。「問い合わせを今より増やしたい」「営業が商談で使える資料的なコンテンツが欲しい」「競合に負けないWebサイトにしたい」といった、あなたが本当に実現したいことを素直に書き出してください。数値目標が設定できなくても、方向性さえ示せれば、プロは具体的な目標設定から一緒に考えてくれます。「問い合わせを月10件に増やしたい」という明確な目標でも、「とにかく今よりマシな状態にしたい」という漠然とした願望でも、どちらも立派な出発点です。

これらの情報をアウトプットする際、パワポで立派な資料を作る必要はありません。大切なのは、プロがあなたの状況を理解し、的確なアドバイスをするための「対話の入口」を作ることです。実際、多くのプロフェッショナルは、完璧に作り込まれた資料よりも、率直に困っている状況を伝えてくれる相談者の方を歓迎します(少なくともわたしはそうです)。なぜなら、そこから本質的な課題を一緒に探っていくプロセスこそが、最適な解決策を生み出すからです。

では、実際にプロに相談する際、どのように伝えればいいでしょうか。まず最初の連絡では、長々とした説明は不要です。「当社は製造業向けに生産管理システムを提供しており、Webサイト経由でのリード獲得を強化したいと考えています。しかし社内にコンテンツ制作の知見がなく、何から始めればいいか相談させていただきたいです」という程度の簡潔なメッセージで十分です。多くのプロフェッショナルは、最初の相談段階では無料でヒアリングの時間を設けてくれます。メールでも電話でも、相談窓口に気軽に連絡してみてください。

その面談の場では、先ほど整理した五つの情報を手元に置きながら、向こうの質問に答えていく形で進めてみてください。ここでのポイントは「わからないことは、わからないと正直に言う」ことです。真のプロは「わからない」という回答を聞いて呆れるのではなく、むしろそこから本質的な課題を探っていきます。例えば「競合他社のコンテンツ状況はわかりますか」と聞かれて「詳しくは調べていませんが、よく検索結果に出てくる会社が二、三社あります」と答えられれば、そこから競合分析の方向性を見いだすことができます。

また、面談では「こういうことは可能ですか」という質問を恐れずにしてください。「月に記事を何本作れますか」「どのくらいの期間で成果が出ますか」「社内の承認を得るための資料も作ってもらえますか」「記事のテーマは提案してもらえますか」「ライターの手配もお願いできますか」といった具体的な質問は、むしろプロにとって答えやすい質問です。遠慮して抽象的な話だけで終わると、後で「結局何をどうすればいいのか」がわからなくなってしまいます。あなたが本当に知りたいこと、不安に思っていることを、素直に質問してください。

面談を通じて、おそらく戦略の全体像、必要な予算の目安、期待できる効果、実施のスケジュールが見えてきます。その段階で、社内での予算申請や承認プロセスに進むことになるでしょう。ここでもプロの力を借りることができます。コンサルティングファームやマーケティングエージェンシーの中には、(社内で提案を通すための)資料作成をサポートしてくれる企業も存在します。「上司に説明するための資料を作ってほしい」「経営層向けに費用対効果を説明したい」といったリクエストは、プロにとって日常的な業務の一部です。むしろ、社内調整のプロセスまで含めて支援してくれるパートナーの方が、長期的にはよい関係を築けます。

ここまで読んで、もしかすると「でも、相談する前に、もう少し自分で勉強しておくべきでは」と思われたかもしれません。もちろん、マーケティングの基礎知識を学ぶことは有意義ですし、時間があれば書籍やオンライン講座で学ぶのもよいでしょう。しかし、今のあなたに必要なのは「完璧な知識」ではなく「動き出すこと」です。自分で勉強している間にも、競合は先に進んでいますし、営業部門はマーケ部門がリードを獲得するのを待っています。何より、実践の中でプロと協働しながら学んでいく方が、はるかに効率的です。教科書で学ぶマーケティング理論と、自社の事業に最適化されたマーケティング戦略は似て非なるものです。プロはあなたの会社に合った戦略を一緒に考えながら、必要な知識も自然と教えてくれます。

そして最も重要なことは、プロに依頼したからといって、あなたの役割がなくなるわけではないということです。むしろ、戦略の方向性を判断する、社内の関係部署との調整をする、成果を評価して次の施策につなげるといった、マネージャーとしての本来の役割に集中できるようになります。記事を自分で書けないことは問題ではありません。優秀な外部ライターを見つけられないことも問題ではありません。SEOの最新アルゴリズムを知らないことも問題ではありません。あなたの役割は、会社の事業目標とマーケティング施策を適切に結びつけ、社内外のリソースを効果的にマネジメントすることなのです。それは、マーケティングの専門知識とはまた別の、経営的な判断力とコミュニケーション能力が求められる仕事です。

今、あなたが感じている不安や自信のなさは、新しい一歩を踏み出す前の自然な感情です。完璧な準備ができてから動くのではなく、今できる準備をして、プロの力を借りながら前に進んでください。多くの成功事例は、完璧な戦略から生まれたのではなく、小さな一歩から始まり、試行錯誤の中で磨かれていったものです。三か月後、半年後、あなたは今とは違う景色を見ているはずです。Webサイトから問い合わせが増え、営業部門から感謝され、上司から評価される。そんな未来への第一歩は、「わからない」という今の状態を正直に認め、プロに相談することから始まります。あなたにも、その一歩を踏み出す準備はすでに整っています。明日、いや今日にでも、信頼できそうなマーケティング支援会社(例えば、スタジオ・ウーフー!)に連絡を取ってみてください。そこから、あなたの新しい物語が始まります。

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