役立ち情報コラム

2025.10.17

メルマガの開封率を改善するには?効果的な分析方法と施策を解説

メルマガを配信しているのに開封率が伸びず、新規案件の受注や既存顧客との関係構築に課題を感じていませんか。配信リストは充実しているはずなのに、肝心の開封率が低いままでは、どんなに良質なコンテンツを用意しても読者に届かず、マーケティング効果を最大化できません。

実は、メルマガの開封率は平均20%前後といわれており、約8割の読者はメールを開封せずに終わっているのが現状です。これは決してコンテンツの質だけの問題ではなく、件名や配信タイミング、差出人名といった「開封前の要素」が大きく影響しています。

本記事では、メルマガの開封率を具体的に改善するための6つの施策と、業界別の平均値、正確な測定方法、そしてKPIの設定方法まで詳しく解説します。開封率を改善し、商談機会の創出、顧客エンゲージメントの向上、そして最終的な売上アップへとつなげていきましょう。

谷古宇浩司

監修

プロデューサー

谷古宇浩司

20年以上にわたってデジタルメディア事業およびデジタルマーケティング事業に従事。アイティメディア株式会社で「ITmedia エンタープライズ」「ITmedia マーケティング」の編集長、株式会社インフォバーンで「DIGIDAY[日本版]」創刊プロデューサー、「Business Insider Japan」創刊編集長、株式会社はてなで統括編集長などを歴任。デジタルメディア運営の経験をいかし、クライアント企業のデジタルマーケティングの戦略設計コンサルティング、メディア構築、組織づくり等を支援している。2025年7月から株式会社アンドストーリー|株式会社スタジオ・ウーフーにプロデューサーとして参画。

川野寛太

監修

品質管理ディレクター/リーダー

川野寛太

1994年、福岡生まれ。明治大学商学部商学科卒。新卒で株式会社ビックカメラに入社し、白物家電の販売接客に従事。退職後は株式会社マイベストにて白物家電記事の企画立案、商品検証、執筆、ラフ作成、有識者への取材などに携わる。その後、コンテンツ戦略をより深めるためSEO会社へ入社。美容医療、転職サイトなどのWebメディア運営を行った。スタジオウーフーでは、チームのマネジメントを担いつつ、記事の品質管理、SEO分析、自社メディアの運営を担当する。

メルマガ開封率を上げる6つの施策

メルマガの開封率を改善するには、読者がメールボックスで目にする情報を最適化することが重要です。ここでは、すぐに実践できる6つの具体的な施策をご紹介します。

施策①|配信先の企業リストを精査する

開封率を向上させるためには、開封する可能性の高い読者に絞って配信することが効果的です。長期間開封していない休眠読者に送り続けると、メールが迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクが高まり、本当に読みたい読者にも届かなくなる可能性があります。

配信リストの精査では、まず過去6ヶ月から1年間、一度も開封していない読者をリストから除外するか、再エンゲージメント施策の対象として別管理することをおすすめします。また、新規登録時には配信元ドメインを受信許可リストに追加してもらうよう案内することで、確実に受信箱に届く環境を整えましょう。

さらに、読者の属性や興味関心に応じたセグメント配信を行うことで、より関連性の高い情報を届けられるでしょう。業種別、役職別、過去の行動履歴別にリストを分類し、それぞれに最適化されたコンテンツを配信することで、開封率は大きく改善します。

施策②|開封したくなる件名を検討する

メルマガの件名は、開封率を左右する最も重要な要素です。調査によると、メルマガ受信者の約50%が件名を見て開封するかどうかを判断しています。効果的な件名には3つの特徴があります。

第一に、読者にとっての価値が明確であることです。「無料特典」「限定情報」「課題解決」など、開封することで得られるメリットを具体的に示しましょう。第二に、具体性です。「売上向上」ではなく「売上190%向上した事例」のように、数字を使って具体的にイメージさせることで興味を引きます。第三に、緊急性や希少性の訴求です。「本日限定」「先着5名様」「終了間近」といった表現で、今すぐ開封すべき理由を提示してください。

件名の文字数は、スマートフォンでの表示を考慮して15〜30文字程度に収めることが推奨されます。特に重要なキーワードは冒頭15文字以内に配置し、一目で内容が伝わるよう工夫しましょう。また、【 】や★などの記号を活用することで、他のメールとの差別化を図ることも効果的です。

施策③|読者にメリット・ベネフィットが伝わる本文にする

メルマガの本文では、読者に「メリット」と「ベネフィット」の両方を明確に伝えることが重要です。この2つは似ているようで異なる概念であり、両方を効果的に訴求することで開封後の満足度が高まり、次回以降の開封率向上にもつながります。

メリットとは、商品やサービスが持つ特徴や機能そのものを指します。一方、ベネフィットとは、その機能によって読者が得られる具体的な成果や感情的な価値を意味します。

たとえば、パーソナライズされた情報配信機能があるメール配信システムの場合を考えてみましょう。メリットは「自社に合った情報が届く」という機能そのものです。しかし、ベネフィットは「情報を探す手間が省け、意思決定のスピードが上がり、業務効率が向上する」という実生活への影響になります。

また、事例や導入レポートを配信する場合、メリットは「実践例を比較できる」ことです。一方、ベネフィットは「他社の成功パターンを知ることで、自社での導入イメージが明確になり、意思決定の不安が減る。さらに失敗リスクを回避できる」という心理的・実務的な価値になります。

本文では、まず機能や特徴というメリットを提示した後、「つまり、これによってあなたは〜できます」という形でベネフィットを明示しましょう。特にBtoB領域では、時間短縮、コスト削減、売上向上、リスク回避といった具体的なベネフィットを数値や事例とともに示すことで、読者の行動を促進できます。

施策④|プリヘッダーを再考する

プリヘッダーを設定していない場合、メール本文の冒頭テキストや画像の代替テキストが自動的に表示されます。その結果「このメールが正しく表示されない場合は」といった意図しない文章が表示されてしまうのです。これでは開封意欲を高めることはできません。

効果的なプリヘッダーは、件名を補完する役割を果たします。件名で伝えきれなかった具体的な内容や、追加のメリットを記載することで、読者により多くの情報を提供し、開封率を高められます。たとえば、件名が「新商品のご案内」であれば、プリヘッダーには「既存製品と比較して30%のコスト削減を実現」のように具体的な価値を記載すると効果的です。

多くのメール配信システムでは、プリヘッダーを簡単に設定できる機能が搭載されています。50〜100文字程度で、件名との一貫性を保ちながら、開封したくなる追加情報を提供しましょう。

施策⑤|差出人名を再設定する

差出人名は、メールボックスで最も目立つ位置に大きく表示されるため、開封率に大きな影響を与えます。特にiPhoneのメールアプリでは、差出人名が最も太く大きく表示され、読者の最初の視線が集まる要素です。

現在「info@company.com」のような代表メールアドレスがそのまま表示されている場合は、すぐに改善しましょう。最低限、「株式会社〇〇」や「〇〇サービス」のように、企業名やサービス名が表示されるよう設定してください。

さらに効果的なのは、「株式会社〇〇 山田太郎」のように、企業名と個人名を組み合わせた差出人名です。個人名が入ることで親近感が生まれ、開封率が向上する傾向があります。特にBtoB領域では、担当者との人間関係が重視されるため、この設定は有効です。ただし、個人名を使用する場合は、本文も「担当者からのメッセージ」として作成し、一貫性を保つことが重要です。

差出人名を変更する際は、A/Bテストを実施し、どの形式が最も高い開封率を得られるか検証することをおすすめします。

施策⑥|企業に合わせて曜日や時間帯を工夫する

メルマガの配信タイミングは、ターゲット層の生活リズムやメールチェックのタイミングに合わせることが重要です。同じ内容のメールでも、配信時間帯によって開封率は大きく変動します。

BtoB向けのメルマガの場合、平日の午前10〜11時、または午後13〜14時が効果的とされています。これは、出社後やお昼休憩後のメールチェック時間に合わせたタイミングです。一方、BtoC向けの場合は、通勤時間帯の朝7〜9時、お昼休みの12〜13時、帰宅後の19〜21時が開封されやすい傾向にあります。

曜日については、BtoBでは火曜日から木曜日が比較的開封率が高く、月曜日や金曜日は業務の忙しさから開封率が下がる傾向があります。ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、業界や読者層によって最適なタイミングは異なります。

自社のメルマガの開封率データを曜日別、時間帯別に分析し、最も効果の高いタイミングを見つけることが重要です。配信システムの効果測定機能を活用し、継続的に検証と改善を行いましょう。

メルマガ開封率の平均はどのくらい?

メルマガの開封率を評価する際、業界全体の平均値を把握しておくことは重要な指標となります。グローバル調査によると、全世界のメルマガ開封率の平均は約22%前後、アジア圏では約18〜20%程度とされています。

ただし、この数値は配信対象や内容によって大きく変動します。既存顧客や会員向けの定期メルマガの場合は20〜30%程度が一般的ですが、見込み顧客や接点の少ない層への配信では5〜10%程度になることも珍しくありません。

自社のメルマガ開封率がこの平均を大きく下回っている場合は、件名や配信タイミング、リストの質などに課題がある可能性があります。逆に平均を上回っていても、さらなる改善の余地は常に存在します。重要なのは、業界平均との比較だけでなく、自社の過去データと比較して継続的に改善していく姿勢です。

また、開封率が低い状態が続くと、新規案件の受注機会を逃すだけでなく、既存顧客との関係維持も困難になります。メルマガは重要なコミュニケーション手段であり、開封率の改善は売上やブランド価値向上に直結する重要な取り組みといえるでしょう。

メルマガ開封率は業界別で違う?

メルマガの開封率は業界によって大きく異なります。海外の調査データによると、非営利団体の開封率は約36%と最も高く、レストラン・フード業界が約33%、出版業界が約30%と続きます。これらの業界は、読者との関係性が強く、提供する情報への関心度が高いことが特徴です。

一方、インターネットマーケティング業界は約17%、代理店業は約16%と比較的低い傾向にあります。これは、これらの業界では多くの企業がメルマガを配信しており、読者のメールボックスが飽和状態になっているためと考えられます。

BtoB領域では、テクノロジー・ハイテク業界が約24%、金融業が約25%、不動産業が約25%と、全体平均に近い数値となっています。教育業界は約28%と比較的高く、読者の学習意欲や情報収集ニーズが開封率を押し上げていると推測されます。

自社の業界平均を参考にしつつ、同じ業界内でもターゲット層やコンテンツ内容によって開封率は変動することを理解しておきましょう。重要なのは、業界平均に満足するのではなく、自社の目標値を設定し、継続的に改善を図ることです。

メルマガ開封率を計算する方法

メルマガの開封率は、以下の計算式で算出します。

開封率(%) = (開封数 ÷ メール到達数) × 100

たとえば、1,000件のメールを配信し、エラーなどで50件が不達となった場合、到達数は950件です。このうち190件が開封されたとすると、開封率は(190 ÷ 950) × 100 = 20%となります。

注意すべき点は、分母に使用するのは「配信数」ではなく「到達数」であることです。バウンスメールなどで届かなかったメールを除外した数値を使用することで、より正確な開封率を把握できます。

また、開封率の測定はHTMLメール形式でのみ可能です。テキストメールでは開封を検知する仕組みがないため、開封率を取得することができません。HTMLメール内に埋め込まれた透明画像(Webビーコン)が読み込まれることで、開封を検知しています。

ただし、iPhoneなどのApple端末では「メールプライバシー保護」機能により、実際には開封していなくても画像が自動読み込みされることがあります。このため、開封率は実際の数値よりもやや高めに計測される可能性があることを理解しておきましょう。

メルマガ開封率を測定する方法

メルマガの開封率を測定する方法は、大きく分けて2つあります。

一つ目は、Google Analyticsを活用する方法です。Google AnalyticsのMeasurement Protocol機能を使い、計測用のパラメーター付きURLをHit Builderで作成します。このURLをHTMLメールのimgタグに埋め込んで配信することで、Google Analytics上で開封数を「イベント」として確認できます。この方法は無料で利用できますが、設定にやや専門的な知識が必要です。

二つ目は、メール配信システムを利用する方法です。これが最も簡単で確実な方法といえます。多くのメール配信システムでは、開封率測定機能が標準搭載されており、特別な設定なしで自動的に開封率を取得できます。管理画面から配信履歴ごとの開封率を確認でき、時系列での比較や、セグメント別の分析も容易に行えます。

継続的にメルマガを配信し、効果測定を行うのであれば、メール配信システムの導入をおすすめします。開封率だけでなく、クリック率やコンバージョン率なども同時に測定でき、PDCAサイクルを効率的に回せるでしょう。

メルマガ配信のKPIはどうやって決めるの?

メルマガ配信のKPI(重要業績評価指標)は、最終的なビジネス目標から逆算して設定することが重要です。一般的に、メルマガ配信では以下の4つのKPIを段階的に設定します。

第一に「送信成功率(到達率)」です。配信したメールが確実に受信箱に届いているかを測る指標で、95%以上を目標とします。第二に「開封率」で、業界平均や過去データを参考に、15〜25%程度を目標に設定することが多いです。第三に「クリック率」で、開封されたメール内のリンクがどれだけクリックされたかを測ります。第四に「コンバージョン率」で、最終的な資料請求や購買などの目標達成率を測定します。

これらのKPIは、メルマガの配信目的によって重視すべき指標が異なります。ECサイトの販売促進が目的であれば、コンバージョン率(購買率)を最も重視します。一方、見込み顧客の育成が目的であれば、開封率とクリック率を重視し、継続的なエンゲージメントを測定することが重要です。

KPIを設定する際は、現状値と目標値の差分を明確にし、改善施策を具体的に計画しましょう。また、定期的にKPIを見直し、ビジネス環境の変化に応じて柔軟に調整することも大切です。

メルマガ配信をプロにお任せするメリット

メルマガの開封率改善には専門的な知識と継続的な運用が必要です。自社でのリソース確保が難しい場合や、より高い効果を求める場合は、プロフェッショナルに依頼することも有効な選択肢となります。

スタジオウーフーでは、メルマガのコンテンツ制作からテキスト作成まで、開封率とクリック率を最大化する文章制作を専門的にサポートしています。さらに、親会社であるアンドストーリーでは、メルマガの戦略立案から配信システムの運用、効果測定、継続的な改善まで、メールマーケティング全体をまるごとお任せいただける体制を整えています。

プロに依頼するメリットは、豊富な事例とノウハウに基づいた施策立案ができること、A/Bテストなどの検証を効率的に実施できること、最新のトレンドや技術を活用できることです。また、社内リソースを本来の業務に集中させることができ、結果的にコストパフォーマンスも高くなります。

メルマガの開封率に課題を感じている方、より戦略的なメールマーケティングを展開したい方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の課題に合わせた最適なソリューションをご提案させていただきます。